コラム

2025年4月16日

ラオスの他の伝統行事は?~ブン・カオパンサー / ブン・オークパンサー~

ラオスの人々にとって、仏教はただの宗教ではなく、暮らしそのものに根づいた“生き方”です。

4月の「ピーマイ・ラオ(旧正月)」で新年を祝ったあとは、雨季とともに心を整える期間へ。

今回は、ラオス仏教の中でも特に大切にされている「ブン・カオパンサー(入安居)」「ブン・オークパンサー(出安居)」をご紹介します。

静かな祈りに包まれたこの季節には、ラオス人女性の穏やかで思いやり深い人柄の背景が垣間見えるヒントもたくさん詰まっています。

1.ラオスの宗教文化とは?

ラオスの国教は「上座部仏教(Theravāda Buddhism)」。国民の約7割以上が仏教徒であり、僧侶や寺院は人々の生活に密接に関わっています。

特徴は「タンブン(徳を積む)」という価値観で、善行やお布施を通じて“よい来世”を願うという考え方が根づいています。

また、仏教と並んで「精霊信仰(アニミズム)」も今なお大切にされています。

山や川、家や村に宿る“ピープ(精霊)”に祈りを捧げるという習慣は、自然と共に生きるラオスならではのやさしい信仰文化です。

こうした土壌の中で育ったラオス人は、穏やかで控えめ、そして思いやり深い性格を自然と身につけているのです。

2ブン・カオパンサー(入安居)とは?

「カオ=入る」「パンサー=安居」という意味を持つこの日は、僧侶たちが雨季の始まりに寺院にこもり、約3か月間の修行に入る行事です。

2025年は7月10日頃に行われる予定です。

その起源は、雨季に外を歩くことで田畑や小動物を傷つけてしまうのを避けるため、ブッダが弟子たちに「寺にとどまり、内省せよ」と伝えたことに始まります。

この間、僧侶は外出を控え、黙々と自分を見つめ、心の修行に努めます。

3.家族や地域も“心を整える季節”

カオパンサーは僧侶だけの行事ではありません。一般の人々にとっても、**「徳を積む=ブンを行う」**期間として重要視されます。

  • 毎朝の托鉢で食事を差し出す
  • 寺へ足を運び、お供えや祈りを捧げる
  • 嘘をつかない、怒らないなど、自分の内面を律する
  • お酒や肉を控える「プチ断食」のような暮らしをする人も

まるで日本のお盆や写経のような、静かな祈りの習慣がこの時期には見られます。

4.なぜ雨季に行われるの?

ラオスでは6月から10月が雨季にあたり、田んぼの作業が忙しい時期です。

そんな時期に僧侶が野山を歩き回らないことで、自然環境や農業への影響を最小限にする、という思いやりが背景にあります。

自然と共に生きる中で生まれたこの文化は、ラオス人がいかに慎ましく、共存を大切にしているかを物語っています。

5.ブン・オークパンサー(出安居)とは?

約3か月の修行期間を終えた日が「ブン・オークパンサー」。

2025年は10月7日頃と見られています。

この日は、早朝から寺院に人々が集まり、僧侶に感謝を伝え、食事やお花などの供物を捧げます。

まるで卒業式のような晴れやかな雰囲気に包まれ、これからの一年の無事と幸運を祈る大切な日です。

6.夜の風物詩「ファイパバート(灯籠流し)」

オークパンサーの夜に行われる灯籠流し「ファイパバート」は、ラオスの年中行事の中でも特に幻想的な行事です。

バナナの葉や竹、花、ろうそくなどを使って作った灯籠を家族で川へ流し、

・一年の厄を水に流す

・ご先祖様を敬う

・幸運と健康を願う

といった祈りを込めます。

特に美しいとされるのが、メコン川沿いのルアンパバーンやヴィエンチャン。

静かな水面を流れる灯りが、祈りの風景を彩ります。

地方では小さな川や池でも行われ、水に願いを託す心がどこでも大切にされています。

7.日本人男性にも響く、ラオス女性の“奥ゆかしさ”

こうしたブン(徳積み)の文化に育まれたラオス女性は、家族や年長者を大切にし、日常の中で感謝と思いやりを忘れないという、非常に穏やかな人柄が魅力です。

自分のことを前に出すよりも、相手を思って行動する

そんな奥ゆかしさや控えめな優しさは、日本人男性が「一緒に安心して暮らせそう」と感じるポイントでもあります。

【まとめ】

ピーマイ・ラオが新年の祝祭だとすれば、ブン・カオパンサーとブン・オークパンサーは“心のリセット期間”。

自然と調和し、感謝と祈りを大切にするラオスの人々の暮らしには、穏やかな美しさがあります。

そんな文化の中で育ったラオス女性たちは、家族思いで思慮深く、そして人を尊重する心を自然に持っています。

派手な自己主張ではなく、寄り添う優しさを大切にする姿は、日本人男性にもきっと心地よく映るはずです。

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